ジャスポ最終結論

ジャスポの最終結論
使用したラケットはチューブオフェンシブWRBです。
木材ラケットならでは打球感の良さと、適度な反発力を持った扱いやすいラケットです。
木材の感覚が好みで、ボールの威力と安定感を両立させたい攻撃重視の
ハードヒッターにオススメの一本です。


はじめに
バタフライ(タマス)や、ニッタクのように誰もが知っているわけではないけれど、
「知る人ぞ知る」卓球メーカーがあります。
根強いファンが多い「アタック8」を発売しているアームストロング、
檜単板ペンの「スピードシリーズ」で有名なダーカー、
「プラズマ」「ロクソン」シリーズの大ヒットでメジャーメーカーになったアンドロ、
こういったメーカーは、あまりなじみがないかもしれませんが、優れた商品を作り出しています。
今回は、日本ではまだそこまでメジャーではないかもしれませんが、
スタイリッシュなデザインで多くのファンを獲得しつつあるキラースピンが
送り出したハイエンドラバー、「フォルテッシモ」のレビューを行いたいと思います。
定価は6,000円オーバー!
いやがうえにも期待は高まります!!


ドライブのスピード・回転量・コントロール性について
外観などから、ハモンドシリーズやレナノスシリーズのような、
「ボヨン」と弾むラバーを想像していましたが、見事に予想を裏切られました。

触った感じから、やや硬めのラバーであることは予想していましたが、
実際に打ってみるとただ硬いだけでなく、柔軟性とコシがあり
予想以上に心地よい打球感でした。
軟らかいラバーは食い込ませて打つことにより、球を持つ時間が長くなり、
ボールをコントロールしやすくなるというメリットがあります。

しかし、ボールが食い込みすぎ、当たると飛んでいってしまうため
ボールに強弱をつけにくいというデメリットもありました。

フォルテッシモは適度な硬さと柔軟性を併せ持っているため、
打球時の爽快感と操作性を両立することができています。

言うなれば「若いときはやんちゃもしたけど(ハモンド・レナノス)、
今ではチョイ悪な魅力のある大人の男になりました(フォルテッシモ)」
という感じです。
わかりにくいですね(笑)

そう、フォルテッシモはただ使いやすいだけではなく、「チョイ悪」なのです。

どういうことかというと、とにかく飛びます!!
かなり強めにテンションがかけられているのか、シートがかなり張り詰めており、
ボールの飛びが尋常ではありません!


軽打時や、リラックスした状態でボールをインパクトできたときには
コントロールできるのですが、強打時や力んでしまった場面では、ホームラン連発です。
柔らかいラバーとは違う意味で「当たれば飛ぶ」ラバーです。

また、シートには十分なグリップ力があるのですが、
球離れが早いのと、反発力が高いため、常に安定して強い回転をかけるには
高い技術力が必要だと思います。

ボールが直線的に飛ぶこともあり、ドライブのなかでも回転量を必要とする
山なりのループドライブよりは、スピードドライブの方がやりやすかったです。

スマッシュは、食い込みすぎない硬めのスポンジ、
適度なグリップ力のあるシート、直線的なボールの軌道と三拍子そろっており、
抜群の威力を発揮することができました。

安定性の低さは練習あるのみ!
やや硬めの打球感でぶっ飛びラバーと言えば…、
そう、ブライススピードと近い感覚かもしれません!
「使い手は選ぶものの、破壊力満点」というのも両者の共通点だと思います。

安定性よりはスピードや威力を重視した設計になっていると思います。
ドライブ主体でも、スマッシュ主体でも戦っていける、かなり戦闘力の高いラバーです!


ツッツキ・ストップ・ブロックなどの守備技術について
切ろうとして力むと、ボールが長く、高くなりがちでした。
そこで、ツッツキでは切るよりも速く深いツッツキをするほうが効果的でした。

攻撃的なツッツキをして、相手が打ちあぐねたらこちらから攻める、
ドライブでつないでくればカウンターという「攻める」戦術がラバーの特性と
マッチしていると思います。

ストップでは短くしようとすると、ボールが浮いてしまいやすいので、
短いボールだけではなく長短や左右のコースを使い分けることが大切です。
短くするためには、角度調節や、「力を抜く」技術は必須です。

守備的な技術で最も好印象だったのはブロック!

スポンジが適度に硬いため、相手の強打に押されることなくしっかり受け止めつつ、
ボールを弾き返すことができました。

ブロック時の打球感もかなり気持ちよかったです!

ただし、弾性が高いため、どうしてもボールは伸びがちになります。
そこで、無理に止めようとするのではなく相手のボールの力を利用して、
伸ばすブロックやカウンターといった、「攻撃的なブロック」で
チャンスメークをするのが良いと思います。

球離れが早いため、ボールがラバーに当たってから飛び出す時間が短く、
相手に連打の余裕を与えることはほとんどありませんでした!!


チャンスメークのつもりでも、相手が対応できずに得点するということが何度もありました。
球離れが早いため、最初のうちはコントロールしづらく感じるかもしれませんが、
使いこなせばかなり強力な武器になること間違いなしです。

カウンターブロックはさらに難易度が上がりますが、
上手く決まればそこでラリーを終わらせることができる威力を持っています。
恐るべし、フォルテッシモ!


サービス・レシーブのスピード・回転量・コントロール性について
回転力が不足していると言うよりは、ボールが飛ぶため
強い回転をかけるのはやや難しいです。
特にショートサービスで強い回転をかけるが難しかったです。

一方、ロングサービスではぶつけるようにして回転をかけることにより、
簡単にスピード、回転の強いサービスを出すことができました。

無理にショートサービス中心に組み立てるのではなく、
ロングサービスから大きなラリー中心にゲームを組み立て、
そのなかにショートサービスを混ぜるという戦術のほうが
良いのではないかと思います。

やはり、台上で勝負するよりはラリーで勝負するラバーだと思うので、
その方がラバーのポテンシャルを引き出すことができると思います。

レシーブは意外に(?)やりやすかったです。
確かに、全体的には飛びやすいラバーなのですが、それは予想の範囲内です。

スポンジが硬いおかげで「予想外に飛ぶミス」ということが
ほとんどなかったのが高ポイントです!

ただし、ロングサービスなど「強いボール」をレシーブしたり、
力んだりしたときには「予想通り」かなり飛んでしまうため注意が必要です。

サービス同様、細かい展開ではなく、
大きな展開に持ち込むのが効果的だと思います。

そのためにも、フリックやドライブなどで積極的に先手を取り、
早めに上回転での展開を作るようにすることが大切です。


メリットについて
とにかく飛びます!!
ドライブでも、スマッシュでも、ラリーを一発で
終わらすことができる決定力が最大のメリットです!

個人的にはラバーの硬度がちょうどよく、打っていて気持ちが
良かったのもポイントが高いです。


デメリットについて
とにかく飛びます!!
技術がない人が使うとオーバーミス連発です。
安定してプレーするには高い技術力が必要です。
あとは、最近の流れと言えば仕方ないのですが、
やはり6,000円オーバーという値段もデメリットです。


こんな貴方にお奨めしちゃう
中級以上、できれば上級の攻撃重視プレーヤーにオススメです。
攻撃からでも、ブロックからでも決定球を放つことができるのは、
相手にとって大きな脅威だと思います。

また、思い切ってフォルテッシモに手を出し、
1つ上のレベルの速さを体感するのも良いかもしれません。

経験に勝る学習なし、です!

ボールのスピード、直線的な弾道、球離れの速さという破壊力を追求する
攻撃用ラバーに必要な条件を必要以上なまでに備えているフォルテッシモ。
使いこなすのは容易ではありませんが、使いこなせるようになったときには
これまでのあなたをはるかに越えた力を身に付けているでしょう。

「フォルテッシモ(=より強く)」という名前のように。

(2009/06/24)

フォルテシモ(黒/特厚)はこちらのページから購入可能です。