ジャスポ最終結論

ジャスポの最終結論
使用したラケットはオールラウンドエボリューション(STIGA)です。
独特なソフトな打球感と「しなり」が特徴的な木材5枚合板ラケットです。
球持ちが良く、適度な弾みがあるのでドライブマンだけではなく攻守型の選手にも愛用され、
世界的ベストセラーになっている、STIGAを代表するラケットです。
粘着ラバーとの愛称も抜群なので、初級者から上級者まで、プレースタイルを問わず、
多くの選手にお奨めできる一本です。


はじめに
完全ノングルー時代になり、テンション系裏ソフトラバーが多くのプレーヤーから支持を集める一方、
粘着性裏ソフトラバーはやや苦しい状況にあります。
しかし、粘着性ラバーも日々進化を続け、「新極V(ブルースポンジ)」のように
十分な弾みを持つラバーも登場してきました。

その粘着性ラバー界に、満を持して登場してきた藍鯨シリーズ!
果たしてどれだけのポテンシャルを持っているのか!?
中国ラバーと言えば「キョウヒョウ」「天極」シリーズで
圧倒的なシェアを誇る「紅双喜」が有名ですが、「海夫」の実力とはいかに!?
興味津津でレビューを行います!


ドライブのスピード・回転量・コントロール性について
ラバーを貼りながら思ったのです。
「海夫?そう言えば、昔グルー売ってたな。ふーん、ラバーも作るんだ。
でも、やっぱり中国ラバーと言えば紅双喜だよなぁ」と。

玉突きをした時から、その予感はあったのです…。
「あれれれれ、何だか違うぞ…」と。

打ってみて、疑惑は確信に変わったのです。

「メッチャ飛ぶじゃん!藍鯨U(己打底)!!!」


これは本当に驚きです!
初めて新極V(ブルースポンジ)を打ったときも「飛ぶ」と感じました

しかし、この藍鯨U(己打底)の衝撃度はテナジー64に匹敵します!!

打ちながらも、これは本当に中国ラバーだろうかと不安になってしまったくらいです。
新極V(ブルースポンジ)のレポートのときに、

「どれだけ弾んでも、粘着ラバーは粘着ラバー。スピードではテンション系にはかなわない。」

という結論を出しましたが、完全に撤回します。

そんじょそこらのテンションラバーをはるかに上回るスピードが出ます!!

では、回転量はどうかと言うと、もちろんgoodです!
トップシートが微粘着であり、スポンジがかなり弾むため、
従来の中国ラバーのような回転をかけるには、ややコツがいります。
全体的には重さ(回転量)が減った分、スピードがUPした感じです。

しかし、回転量が減少したとは言え、
これはあくまでも従来の中国ラバーと比較した場合の話です。

高弾性やテンション系ラバーと比較すれば、その回転量は比較しようもありません!


それでいて、テンション系ラバーなみのスピードです。
当然、その攻撃力は絶大です!!

また、藍鯨U(己打底)のドライブが高弾性、テンション系ラバーと大きく異なるのはその軌道です。
ボールの上側を薄くとらえると沈むドライブを、
後よりをやや厚くとらえると伸びるドライブを打つことができます。
もちろん、中国ラバー以外のラバーでもドライブを打ち分けることはできますが、
やや技術が必要な上、大きな変化をつけにくいことのほうが多いです。

しかし、藍鯨U(己打底)ならばカーブやシュートだけではなく、
伸びる・沈むなどドライブの変化をつけるのが容易で、その変化幅も大きかったです。


サーブからの3球目攻撃によるドライブ速攻で決めるも良し、
多彩なドライブのチャンスメークからパワードライブで決めるも良し!
中陣でのドライブの引き合いでもテンション系ラバーに遅れをとることはありません!

スピードはもちろんこと、回転量や変化幅が大きいため、むしろ中陣からのドライブの方が
相手にプレッシャーをかけられるのではないかと思うほどです。


当然スマッシュもスピード、安定感ともに抜群でした!
ナックルになりやすいので、新極同様ドライブとの回転量差が大きく、
決定率をさらに高めていました!!


オールラウンドな戦い方ができるラバーであり、汎用性が高いと思います!


ツッツキ・ストップ・ブロックなどの守備技術について
ツッツキ・ストップのやりやすさはこれまでの中国ラバーとなんら変わりません!
ツッツキでは回転量はもちろん、かなりのスピードも出ます。

「攻める」ツッツキになるので、チャンスメークはもちろん決定球にもなり得ます。

守備技術だからと言って、「守る」気持ちでプレーをすると、
相手に攻められっぱなしになり反撃するチャンスを失うことになります。
藍鯨U(己打底)ならば「守りながら攻める」ということが可能になります!

ストップも、シートがボールをつかんでくれるため、スポンジが弾む割にはやりやすかったです。
しっかり切りながら止めることも可能です。
ただし、中国ラバーの宿命として相手の回転の影響を受けやすいことと、
スポンジが弾むためややボールが長めになりがちなことには十分注意しましょう!

台上技術に不安がある人や、大きなラリーが得意な人は
スピードの乗った高速ツッツキからの、大きなラリー戦に持ち込むのがベターかもしれません。


ブロックでも、無理に止めようとするよりもカウンター気味にボールを伸ばすほうが好感触でした。
コントロールもつけやすく、相手を左右に振り回すのも楽でした!

もちろん、慣れれば短く止めることもできるので、ブロックのバリエーションは広がります。

ただ「止める」だけのブロックと「変化」のあるブロック、どちらが効果的かは言うまでもありません。

レベルが上がれば上がるほど、そういった細かい技術の差が大きな差になります。

現在の卓球のプレーは単純に「攻」と「守」に分けることはできません。
攻めていてもカウンターされ、守備的プレーをしなければならない場合もありますし、
守っていてもチャンスがあれば、一気に挽回するプレーが必要となる場合もあります。

藍鯨U(己打底)なら、攻守で安定したプレーをすることができます!


サービス・レシーブのスピード・回転量・コントロール性について
サーブも非常にやりやすかったです。
従来の中国ラバー使用者が使用すると、やや飛距離が出ますが、
すぐに慣れられるレベルなので問題ありません。

テンション・高弾性ラバーからの移行でも、粘着が強すぎないため
大きな違和感なく使用できるのではないかと思います。
(もちろん、回転量はアップします!)

回転はもちろんですが、スピード・コントロールを含め「自在性」の高さが感じられました。
際どいコースへのサーブも自信を持って行えます!

ジュースなどの競った場面でもサーブに自信を持つことができ、
競り負けることが少なくなったような気がします。


サービスで意外だったのはロングサービスを行ったときです。
これまでの中国ラバーはスポンジがかなり硬いため、
擦ったほうがスピードが出やすかったです。

しかし、藍鯨U(己打底)はスポンジに柔軟性があるため、食い込ませても
スピードの乗ったサービスを出すことができました。

このことからも、サービスでの自在性の高さを感じることができます。

レシーブではフリックや台上ドライブなどの「攻める」技術が特にやりやすかったです。
シートに粘着性があるため、どうしても相手の回転の影響を強く受けてしまいます。

さらにスポンジの弾性も高いため、回転を読み間違えると 相手の回転の影響をモロに受けてしまいます。
しかし、攻める技術を行った場合、こちらの回転で(力ずくで)ボールを持っていくことができるので、相手の回転の技術を受けることも少なく安定した攻撃をすることができました。

ポイントはどのような技術でも、「しっかりと回転をかける」ということにあると思います。

フリックでも、台上ドライブでも、ツッツキでもとにかくしっかり切る!
強気でしっかり切る!!自分の回転で点を取りに行く!!!

というプレースタイルが良いのではないかと思います。
そのなかにナックルボールを混ぜてやれば、相手はお手上げです。


メリットについて
スピードが出る、回転がかかる、といった単一的なことではなく、
スピード・回転・コントロールという、ラバーに求められる要素を高いバランスで
兼ね備えている点が最大のメリットだと思います!


これまでの中国ラバーのように「飛ばない」「スポンジが硬すぎる」というような
デメリットもないため、扱いやすさも抜群です!

デメリットについて
やはり重量が重いことと、相手の回転の影響を受けやすいということは避けられません。
また、これまでの中国ラバーに比べやや個性が薄まっているため、
違和感を持つ人もいるのではないかと思われます。



こんな貴方にお奨めしちゃう
極端な硬度(硬:従来の中国ラバー、軟:ドイツ系テンションラバーなど)のラバーを
使用している人以外の、すべての攻撃型プレーヤーにオススメします。
中陣からのドライブや、食い込ませる技術のやりやすさなど、
これまで中国ラバーが苦手としていた技術もまったく苦にすることはありません。

打って良し、守って良しの非常にバランスの取れたラバーに仕上がっているため、
試合中のすべての局面で満足することができると思います!


個人的には、フォア面:藍鯨U(己打底)、バック面:テナジー・64という組み合わせの選手とは
絶対に戦いたくはありません(汗)。

もちろん、カットマンにもオススメできます。
カットをすればしっかり回転のかかった重いカットを相手のコート深くに送ることができますし、
中陣からも威力満点の攻撃をすることができる
ため、非常に扱いやすい一枚だと思います!

最近のラバーのキーワードは「万能性」ではないかと思います。
藍鯨U(己打底)に近いラバーを挙げると、意外な感じもしますが「テナジーシリーズ」ではないでしょうか。

中国ラバーはもちろん、高弾性、テンション系ラバーからの乗り換えも
十分可能なポテンシャルを秘めています!


中国ラバーだから「できない」ということはありません。
中国ラバーだから「できる」ことがあります。
ノングルー時代の今、選ぶべき「本物」は何なのか!?
藍鯨U(己打底)はその答えの一つかもしれません。

(2009/02/13)

藍鯨U(己打底)(黒/2.20mm)はこちらのページから購入可能です。